「名を捨てて実を取る」と は、日本語のことわざで、体裁や名誉などを犠牲にしても、実質的な利益を得るほうを選ぶことを意味します。
意味
このことわざは、名誉や外聞にこだわらず、実質的な利益を重視するという考えを表しています。
由来
このことわざの由来は定かではありませんが、中国の故事から生まれたと考えられています。
有名な故事
- 越王勾践と伍子胥
中国の春秋時代に、越王勾践は呉王夫差に敗れ、屈辱的な降伏を余儀なくされました。しかし、勾践は復讐を誓い、伍子胥の助言に従って、形式的に服従しながらも、内政に力を注ぎ、軍備を整えました。そして、20年後に呉を滅ぼし、春秋五覇の一人となりました。
この故事から、「名を捨てて実を取る」という言葉が生まれたと考えられています。
現代での使い方
このことわざは、ビジネスや日常生活のさまざまな場面で用いられます。
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ビジネス
- 新規事業に参入する際に、短期的には利益が出なくても、将来的に大きな利益を得られると判断して投資する。
- 顧客満足度を向上させるために、コスト削減を徹底する。
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日常生活
- 昇進や転職を希望する際に、安定した職場を捨てて、より挑戦的な環境に身を置く。
- ダイエットをするために、好きな食べ物を我慢する。
類義語
- 実を取るより名を取れ
- 実より名
- 名利を追う
- 損して得取れ
対義語
- 体裁を整える
- 見栄を張る
- 虚栄心
- 名誉欲
例文
- 「彼は、利益を追求するために、評判を落とすようなことをしても構わないと考えていた。」 (He was willing to tarnish his reputation in order to pursue profit.)
- 「彼女は、モデルになるために、厳しい食事制限とトレーニングを自分に課した。」 (She imposed a strict diet and exercise regimen on herself in order to become a model.)
- 「この会社は、環境保護に取り組むために、利益の一部を寄付している。」 (This company donates a portion of its profits to environmental protection, even though it means sacrificing some short-term gains.)
その他
このことわざは、必ずしも倫理的に正しいとは限りません。状況によっては、名誉や体裁を犠牲にすることは許されない場合もあります。