「一衣帯水」は四字熟語の一つで、一筋の帯のように狭い川や海峡を隔てて隣接していることという意味です。
転じて、「二つのものの距離が非常に近いさま」を表すこともあります。
特に、中国と日本との関係をいう場合に使われることが多いです。
語源
「一衣帯水」の語源は、中国の南朝・陳時代の皇帝である後主の言葉とされています。
後主は、北朝・隋の皇帝文帝が南朝を攻めようとしていることを知った際に、「我為二百姓父母、豈可下限二一衣帯水一、不 上レ拯 レ之乎(我、二百姓の父母たる者、豈に一衣帯水を隔てて隣接する者にして、これを拯わんとせず可けんや)」という言葉を発したとされています。
この言葉の意味は、「私は二つの国の民衆の父母であり、一筋の帯のように狭い海峡を隔てて隣接しているこの国を救わないわけにはいかない」ということです。
使い方
「一衣帯水」という言葉は、以下のような場面で使われます。
- 中国と日本の関係を説明する際に
- 二つのものが非常に近い関係にあることを強調したい際に
- 歴史的な出来事を説明する際に
例文:
- 中国と日本は、一衣帯水の関係にある。
- 両国は、文化や経済など様々な面で深い交流がある。
- 古代中国と朝鮮半島は、一衣帯水の関係にあった。
注意点
「一衣帯水」という言葉は、「狭い川や海峡」という意味合いがあるので、物理的な距離が離れている場合には適切ではない表現となります。
例えば、アメリカと日本は「一衣帯水」の関係とは言えません。
また、「一衣帯水」という言葉は、「隣接している」という意味合いがあるので、敵対関係にある場合にも適切ではない表現となります。
例えば、古代ギリシャとペルシャは「一衣帯水」の関係とは言えません。
その他
「一衣帯水」という言葉は、美しい響きを持つ言葉として、書道や俳句などの文芸作品にもよく使われます。