「語るに落ちる」とは、問い詰められると何も話さないのに、勝手に話させるとうっかり秘密を喋ってしまうという意味のことわざです。用心して秘密を守ろうとしても、つい油断して口を滑らせてしまう様子を表します。
語源
「語るに落ちる」の語源は、中国の故事から来ていると言われています。
故事
中国の宋代に、包拯という政治家がいました。包拯は、清廉で公正な政治家として知られていました。あるとき、包拯は汚職官吏を摘発する事件を捜査していました。捜査の過程で、包拯は関係者から事情を聴取しました。関係者は、最初は何も話そうとしませんでした。しかし、包拯が巧みに質問を続けるうちに、つい口を滑らせてしまい、汚職の事実を認めてしまいました。
文化的な背景
「語るに落ちる」ということわざは、人間の心理について教えてくれます。人は、秘密を守ろうと意識すればするほど、逆に喋ってしまうということがあります。これは、心理的なプレッシャーによって、思考力や判断力が低下してしまうためと考えられています。
現代的な用法
「語るに落ちる」ということわざは、現代でもよく使われます。警察の取り調べや、裁判などの場面で、容疑者が自白する様子を表現するために使われることが多いです。
例
- 容疑者は、最初は何も話さなかったが、長時間取り調べを受けた結果、「語るに落ち」て、犯行を自白した。
- 子供がいたずらをしたことを隠そうとしたが、親に問い詰められるうちに、「語るに落ち」て、いたずらをしたことを認めた。
類義語
- 胸の内を吐き出す
- 白状する
- 自白する
まとめ
「語るに落ちる」ということわざは、人間の弱さについて教えてくれます。秘密を守るのは難しいという事実を理解し、油断しないように注意することが大切です。
補足
- 「語るに落ちる」は、「語るに落つ」と書くこともあります。意味は同じです。
- 「語るに落ちる」は、「問うに落ちず語るに落ちる」の略語です。「問うに落ちず」とは、問い詰められると何も話さないという意味です。
- 「語るに落ちる」は、ネガティブな意味で使われることが多いです。しかし、ポジティブな意味で使われることもあります。例えば、子供が自分の気持ちや考えを素直に話せるようになるという意味です。